YOMIURI ONLINE(6月21日付)の記事によると、私立通信制の信濃むつみ高校(長野県松本市)が、東日本大震災と東京電力第一原子力発電所の事故をテーマにした特別授業「3・11以後を考えるための特別スクーリング in フクシマ」を、24・25日の2日にかけて南相馬市などの被災地で行った。「被災者の苦悩を感じた。震災の現実に触れて、生きるとはどういうことか考えてほしい」と教師らは話す。
同校は、生徒が暮らす街や社会が学びの場という意味の「テラ・スコラ(地球が教室)」を教育方針に掲げ、2003年春に開校。不登校や引きこもりの経験がある生徒もいる。本県を訪れるのは1~3年生約30人で、津波被災地を見学し、原発事故で村全域が計画的避難区域となった飯舘村の住民から話を聞く。
特別授業を担当するのは、竹内忍教頭(52)。「大震災を契機に社会の価値観や産業構造が変化し、生徒の進路にも影響するかもしれない」とし、「30年後の社会を担う生徒らに、大震災の現場を見て、自分の生き方を考えるきっかけにしてもらえればと考えた」と話す。
授業1日目は、南相馬市を中心に、壊滅した住宅地や農地が広がる津波被災地を歩く。2日目は、飯舘村の農業庄司開(ひらく)さん(61)と会い、放射線の影響で村を離れなくてはならなくなった心境や、将来についての思いを生徒に話してもらう予定だ。
竹内教頭らは16日、打ち合わせのため、庄司さん親子を自宅に訪ねた。
山林に囲まれた自宅に住むのは、庄司さんで3代目。約1.3ヘクタールの水田を守りながら暮らしてきたが、原発事故で、作付けができなくなった。
7月中にも相馬市内の仮設住宅へ移り住むという庄司さんは「放射線の影響を考えると、20~30年は戻れないかも。そうなれば村がなくなる」と寂しそうに話した。それでも庄司さんは、村内を巡回パトロールする村の「見まもり隊」に入った。避難先からも週3日、隊の活動に参加する。
竹内教頭は「大人だって手探り。こうした現状を見聞きした生徒が何を感じ、私たちにどう伝えてくれるか。私たちは生徒に何を語るか。そうしたやりとりを積み重ね、丁寧に生きる力を養ってもらいたい」と期待している。
引用元:YOMIURI ONLINE「長野の通信制高 南相馬で授業」(6月21日付)
未曾有の大震災で受けた被害を現地で目の当たりにすると、ニュースや人の伝聞だけではわからないことを感じ取ることができる。それは今までの生き方や考え方をガラリと変えてしまうことも。この2日間は生徒らにとって貴重なものとなったのではないだろうか。
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