神奈川発コミュニティサイト「カナロコ」(3月7日付)は、神奈川県内の生活保護世帯における子どもの高校進学率が、昨春初めて90%を超えたことを報じた。
保護者が高学歴を求める傾向が強まっていること、行政による学習サポートが功を奏したと考えられている。
国の意向を受けて県が行った調査によると、昨年3月に中学を卒業した生保世帯の子ども(1631人)の高校進学率は92.5%で、前年比3.4ポイント上昇。55.7%(前年度比1.2ポイント増)が全日制、36.8%(同2.2ポイント増)が定時・通信制に進んだ。
神奈川は全国(岩手・宮城・福島県除く)9位の水準で、前年調査(47都道府県中20位)より上位ランクに。一般世帯(98.4%)との差も前年の9.1ポイントから5.9ポイントに改善した。
進学率の向上は授業料や教材費の支給制度(生業扶助)が2005年度に導入された影響が大きいが、県は「福祉事務所などが独自に展開する支援プログラムの成果も表れ始めている」と分析している。
生保世帯の子ども向け学習支援プログラムは、「子どもの居場所」を広げる狙いで、県や市が2年ほど前から着手している事業。県は平塚と足柄上両地域で実施。横浜、相模原、横須賀市にも広がっており、12年度は茅ケ崎市でも「開校」する予定という。
ケースワーカーや教職員OB、大学生ボランティアらが高校入試の受験勉強をサポートし、各地域の福祉事務所などが学習塾の代役を担う取り組み。今後は低学年や高校入学後の支援も視野に入れており、県は先行事例による効果を呼び水に、未実施の市にも同様事業を広げたい考えだ。
低学歴ゆえに一定の所得を得られず金銭的理由で子どもの進学を断念し、子どもも成人後に保護を受ける「貧困の連鎖」。悪い流れを断つことで、増加傾向が続く生活保護費(義務的経費)を抑制し、政策的経費拡大の道も開く。行政の取り組みは今後さらに加速していきそうだ。
引用元:カナロコ「生活保護世帯、高校進学率が初の9割超 自治体サポート奏功か/神奈川」(3月7日付)
負の連鎖を断ち切る試み。今後の動向にも注目し、その過程や結果を他の自治体でも取り入れて欲しい。
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